爪を切除する手術に比べ、ネコちゃんにとって負担の少ない手術です。 翌日から普通に歩くことができます。遠方の飼い主さんからの依頼が多い手術です。
猫が家具や壁・柱を傷つけてしまうのを防ぐには、外科的方法として一般的に抜爪術と呼ばれる、爪を根元から切断してその後生えてこないようにしてしまう方法がとられます。
これは飼い主さんにはもちろんのこと獣医師にとっても、手術後の痛みや出血を考えると実施するのに抵抗がある手術といえるでしょう。しかし、飼い主さんと猫ちゃんのストレスのない関係や、同居の方との良い関係を維持するために、どうしてもしなければならない場合があります。
当院では、飼い主さんの手術に対する抵抗感をいくらかでも少なくするために、爪を残す手術法を採用しています。猫はふつう爪を閉まって生活していますが、必要なときには爪の根元に付着した筋肉を収縮して爪を出します。したがって爪の根元で腱を切断すれば爪を出すことができなくなります。
この手術では前足の各指の裏側に5mm程度の切開を必要としますので、歩くときに傷口が動くため多少出血しますが、だいたい1日で出血は止まります。そして痛みもあまりない様子で翌日から普通に歩けます。抜糸のために再来院していただく必要もありません。
爪は温存されますが、爪に力が入らないので爪研ぎをしても家具を傷つけることはありません。ただし、定期的な爪切りが必要なので、飼い主さんがてこずることなく猫ちゃんの爪を切れることが条件です。